■ 太古のウイルス防御があだ 人がHIV感染に弱い理由
【2007年6月22日】
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 人類が約400万年前にサルで流行していたウイルスへの防御機構を発達させた結果、皮肉にもその後登場したエイズウイルス(HIV)に感染しやすくなったとする研究結果を、米フレッドハッチンソンがん研究センターなどのチームが22日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 細胞に侵入したウイルスを退治する役目を担う「TRIM5α」という遺伝子が、太古のサルの流行ウイルスに特化しすぎたため、うまくHIVに対処できないらしい。研究者は「TRIMは微妙な形状の違いによって働きが異なるため、両方のウイルスを同時に防ぐことはできないようだ」と分析している。
研究チームは、類人猿ゲノムに含まれる太古のウイルス感染の跡を手掛かりに、約400万年前にチンパンジーやゴリラなどに流行したウイルスの一部を復元。動物の細胞を用いた感染実験で、現生人類のTRIMはこのウイルスの感染を抑えるが、1つのアミノ酸をゴリラなどと同じものに置き換えた祖先型TRIMでは感染を抑えられないことを確かめた。
 逆にHIV感染に対しては、祖先型TRIMの方が防御能力が高いことも判明。人類は既に地上から姿を消したウイルスとの闘いに勝利した引き換えに、HIVという新たな敵に悩まされることになった、と研究チームはみている。